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うちの◯◯がお世話になってます

第10章 真田弦一郎の姉(テニスの王子様)




「あ、いいのいいの!
謝らないで。
むしろ謝らなきゃいけないのは私のほう……。
今までごめんね。
弦一郎の姉ってだけで差入れを受け取ってくれてたんでしょう?
ありがとう」


菜々子は申し訳なさそうに言った。


「………俺は、例え部員の姉だからって貰った差入れは食べないよ。
好きな人以外の差入れはね」


幸村の言葉に菜々子は、溢れそうになる涙をなんとか堪える。


「その紙袋は差入れのお菓子?」


幸村がぐちゃぐちゃになった差入れを指差す。


「そう……だけど………」


菜々子が言った瞬間、幸村は差入れに手を伸ばした。


「真田が何とかケーキって言ってたけど今回は何作ったんだい?」

「………シフォンケーキ」


菜々子と会話しながら幸村は紙袋からケーキが入った箱を取り出す。


「幸村君?
何してるの……?」


菜々子は幸村の行動が分からず首を傾げる。


「見てて」


幸村はそう微笑みかけると箱を開けた。
中には原形をとどめていないシフォンケーキがあった。

幸村はシフォンケーキのカケラを手に取り食べた。


「き、汚いよ!
それ、落としたし、踏まれたし……」


慌てて菜々子は幸村の手にあるシフォンケーキを取り返そうとする。


「大丈夫だよ。
直接落としたり、踏まれたりしてないみたいだし」


幸村は笑いながら菜々子を避けてまたシフォンケーキを食べる。


「美味しいよ。
菜々子ちゃんの作るお菓子はいつも優しい味がして好きだよ」

「……ありがとう………。
でも好きな人からしか差入れ受け取らないんだったらこういう事やめて………。
期待しちゃうから」


菜々子は俯き、そう言った。


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