第10章 真田弦一郎の姉(テニスの王子様)
「幸村は差入れは好きな人からしか受け取らんのじゃ」
「そう公言してる幸村君に差入れを渡すってことはどういう事か分かるだろぃ?」
「なるほど!
だから告白になるんッスね」
仁王と丸井の説明に納得した切原は中庭にいる幸村と女子生徒を見た。
女子生徒の差し出してものを幸村は断ったようで女子生徒が涙目になりながら走り去って行く姿が見えた。
「でも何で好きな人からしか差入れ受け取らないんスかね?」
「さぁ?
俺はくれるって言うんだったら喜んで貰うけどな」
「前に一回幸村に聞いたんじゃが、幸村なりのアプローチってやつらしいぞ」
「「アプローチ?」」
仁王の言葉に首を傾げる切原と丸井。
「今の関係を壊すのが怖くて踏み込めんけど何もしないで他の男に取られるのは嫌じゃから。
伝わるかどうかは分からんがちょっとずつの精一杯のアプローチなんじゃと」
「あの幸村先輩にそこまで思われてる人ってどんな人なんスかね……」
切原の言葉に黙る仁王。
「実はさ、俺、幸村君の好きな人、分かったかもしれねぇ」
丸井が真剣な表情で言った。
「奇遇じゃのぅ。
実は俺もこの人なんじゃないかと目星をつけとる人がおる」
「じゃあ、せーので言うか?」
丸井の提案に頷く仁王。
「せーの」
「「真田の姉ちゃん」」
仁王と丸井の発言に切原はもはや驚きすぎて声が出ない状態だ。
「さ、真田副部長のお姉さん!?
って俺、会ったことないんスけど。
やっぱり真田副部長に似てるんスか?」
「俺らも会ったことねぇよ」
切原の質問に答える丸井。
「??
じゃあなんで真田副部長のお姉さんって分かるんスか?」
首を傾げて2人に聞く切原。