第5章 『(コイツ・・・大型犬か何かか・・・?)』
『げ』
「?
どうした、シオン」
『ごめんローグ、なんか嫌な予感するから私もう帰るわー』
「嫌な予感・・・?」
「シオンさんっ!!」
ぱたぱたっ
ハグっ!
『っと・・・。
お、久し振りだねレクター』
「はい、お久し振りですっ!
いつ来たんですか?いつまで居てくれるんですっ?」
「あー・・・レクターずるいー、フローもシオンにぎゅーってするー!」
むぎゅっ
「・・・微笑ましいな」
『・・・ローグ』
「ん?どうした」
『天使すぎるフロッシュの相方がローグなのはいいとして、なんでこんなに天使すぎるレクターの相方が奴なんだろうね』
「奴、ですか??」
「やつー?」
「・・・・・・ああ、なるほど・・・。
それで嫌な予感、か」
剣咬の虎のギルドにて。
馬車から降りて1階の酒場でローグと談笑していたシオンだったが、しばらくして唐突に嫌な予感がすると告げた。
そこへ文字通り飛んでくる赤い猫、レクター。
翼で飛んできた勢いよろしく座っていたシオンの腹に抱きついた。それを見たフロッシュもレクターのすぐ横に抱きつく。
レクターが居るとすれば、必然的にレクターといつも一緒に居る存在もここに居る訳で。
ぎゅ・・・
「よォ、シオン。
すっげー会いたかったぜ・・・?」
ぞわっ
『・・・・・・』
「・・・シオン。鳥肌が立っているぞ」
「おいおい風邪か?
ダメだろ、体調管理はちゃんとしないと」
『・・・3秒以内に離れないと沈めるよ』
「それがお前からの愛情なら、俺はいくらでも受け止めるぜ?」
『・・・あーうん、もういいや。
フロッシュ、レクター。これあげる』
「??
これは・・・なんです??」
『リストバンド。
手首に着けるんだよ』
服の裾からスッと取り出したパステルレッドのリストバンドをレクターに、パステルピンクのリストバンドをフロッシュへ手渡すシオン。
シオンの後ろから首に手を回すように抱き着いている前髪を上げている金髪の青年スティングはこの際スルーするようだ。