第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
彼女達は木の下に出来た空洞に身を潜めた。
重症のサスケとナルトを横たえ、サクラは献身的に彼らの額から滲む汗を拭っている。
「サクラちゃん、お水汲んできたよ」
こんな状況でもリエは笑顔を絶やさなかった。
弱々しい笑みではあったが、自分を少しでも安心させようと気遣っているのだとサクラはわかっていた。
前は頼りなかったリエが、今はこんなにも頼もしく感じた。
アカデミーでは、リエはずっと下の方の成績だった。
他のことはそつなくこなすのに、忍術だけが全く出来なくて。
それなのに、気付けばいつもリエの隣には当たり前のようにサスケがいて、サスケが女子の名前を呼ぶのはリエだけだった。
その嫉妬心からか、リエが一部の過激なサスケファンに嫌がらせを受けていたと、サクラはその現場を目撃した いのから聞いたことがある。
そのときも辛かったろうに、リエはただ困ったように笑ったのだと言う。
授業で失敗してクラスの笑い者になったときも、嫌な顔ひとつ見せず
いつも笑顔で、何も気にしていないように。
でもその裏で、彼女は人一倍努力していたんだと今更ながらに思う。
リエは強い。
サスケと一緒に前線で戦えるほどに。
そして、その心も。
((それに比べて…私はいつも口だけで…皆が戦う姿を見ているだけだ…))
そう思うと情けなくて、サクラはぎゅっと拳を握り締めた。
「……大丈夫だよ。二人とも、すぐ元気になるよ」
サクラを励ますようにリエは笑顔でそう言い、横たわる彼らの頭を撫でた。
「…大丈夫。絶対……」
それはサクラにというよりも、自分に言い聞かせているようにも思えた。