第16章 中忍試験〜一次試験〜
受験者全員に困惑の色が広がった。
当然である。
あれだけ崖っぷちに追い詰められたのだ。
その後、本試験における本当の目的が説明された。
与えられた強烈なプレッシャー。
更にその上迫られるカンニング。
受験者の中に潜ませた回答を知る中忍を探し当てる能力までも試されていたのだった。
イビキは合格者たちの眼前に、今まで額当てのついたバンダナで隠していた自らの頭部を晒した。
それは思わず目を覆いたくなるほどに酷いものだった。
火傷、ネジ穴、切り傷。
非常極まる拷問の痕に、彼らは息を呑む。
「情報とはその時々において、命より重い価値を持つ。そして任務や戦場では常に命懸けで奪い合われるものだ」
イビキはその身を以って情報を守ることを伝えた。
それがこの第一の試験の真相。
カンニングを失敗するということは、
敵や第三者に己の動きを感づかれてしまうということ。
そしてその時点で、己の持つ情報は正しいと限らなくなるのだ。
相手が敵に近くなればなるほど、対処され襲撃、反撃される。
故にそれをしくじれば味方も、里をも危機に曝してしまうということになる。
最後の十問目の問いこそは、中忍の中忍たる資質を問うていた。
どんな危険が降りかかろうと逆境に立たされようと、避けることが出来ない任務もある。
部隊長として仲間の不安を払拭して、ここ一番を叱咤出来る者。
それを篩いにかけた出題であったのだ。
「第一の試験は終了だ。君達の健闘を祈る!」
難問だらけのペーパーテスト。
ルーキー十名は見事全員合格となったのだ。