第16章 中忍試験〜一次試験〜
しかしリエの心配を余所に、ナルトは大きく机を叩き叫んだのだ。
「なめんじゃねー!!オレは逃げねーぞ!!」
彼の声に重苦しいばかりだった会場の雰囲気は一変した。
「受けてやる!!一生下忍になったって…意地でも火影になってやるから、別にいいってばよ!!」
ナルトの誇りにリエは思わず笑みを漏らした。
ナルトの言葉は、いつも勇気を与えてくれる。
サスケは呆れ顔ではあったが、それでもナルトの答えが満足にあたるものであったのだろう。
口角を上げてクッと喉を鳴らしていた。
イビキはナルトを強く睨みつける。
「もう一度聞く…人生を賭けた選択だ。やめるなら今だぞ」
しかしナルトは決して怯まなかった。
「まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ……それがオレの忍道だ!!」
ナルトの先陣で不安も迷いも断ち切ったのは、他の受験者も同様だった。
彼らもまた腹をくくり、イビキを見据える。
そこには蹴落とす相手、ライバルと言うよりは同志に近い繋がりを感じた者も少なくないだろう。
「いい決意だ。では…ここに残った七十九名全員に……」
息をつめ、最後の出題に心の準備は整った。
しかしイビキから紡がれた言葉は、彼らの予想を大きく覆したものだった。
「第一の試験合格を言い渡す!!」