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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第2章 相談役の相談係


磯は四つの氏族からなる。それらは特有の技や能力を持っており、それに応じた役割を果たして各々磯という里を支えてきた。

磯師、潜師、薬師、野師。

「木の葉に残ったのァ大概が大人しくて辛抱強い磯師の連中だよ。良かったな、山っ気があって気の強い潜師や賢いけど頭の堅い薬師や自分勝手で放浪癖のある野師とかばっか残んなくてヨ。ハハハ、ウァックショイ・・・ッ」

木の葉の客舎、昼前の人気のない食堂で、藻裾が大きなくしゃみをかました。

「誰か噂でもしてやがんな?誰だ?人に無断でクシャミふっかけやがって、ただじゃすまさねえぞ」

藻裾の言い分に、向かいで卓に片肘をついてお茶を啜っていたシカマルが顔をしかめる。

「テメエが勝手にクシャミしといて人のせいにすんじゃねえよ。ったく、笑うんだかクシャミすんだかハッキリしろ。汚えな」

「あー、ねえ・・・」

藻裾は鼻をこすって物足りなそうにお茶の入った湯呑みを眺めた。

磯が散開してそれぞれがそれぞれに思い定めた道に進んでから十日、客舎に残るのは藻裾だけで、彼女が親しんだ人達の姿はない。

「ま、汚なかネェよ。アタシのくしゃみは。何せ練乳で出来てんだからさ。ペコちゃんもびっくりドンキーでランチですわ」

シカマルは湯呑みを口につけたまま目をすがめて藻裾を見た。

「反って引くわ。何だ、練乳のクシャミってなよ?・・・で?オメエはどの師族の出なんだ?」

「当ててみな?当たったらアスマさんの奢りで焼き肉だぜィ」

「焼き肉はもういい。オメエの自腹でセブンのおでんだ。昆布と大根と厚揚げ。薬味はゆず胡椒」

「外れたら揚げ鶏と唐揚げ棒五個ずつ、塩握り七つな」

「・・・当たったらおでんプラス帆立重な。モンスターウルトラもつける」

「帆立重ってフザけんじゃねえぞ!セレブかオメエは!カツカレーにしとけ!」

「おでんにカツカレーなんか誰が食うか!」

「じゃカレーうどんか」

「・・・・うどんで譲歩した気になるなよ?カレーじゃなきゃ駄目ならテメエでカレー食やいいだろうが。あーメンドくせえ」

「モンスターウルトラかあ。じゃアタシはレッドブルつけっかなァ」

メンドくせえ。

シカマルはもうほとんど残っていない湯呑みのお茶を啜って顔をしかめた。ボーッとしている藻裾を見る。

しおたれたコイツなんざ見たくねえ。


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