第17章 火影の雑談
紅い唇を上げて綱手は不敵に笑った。
「力業はアタシの得意とするところだ。事が動き出してしまったなら、誰にも否やは言わせない」
「賭けますか」
カカシが笑顔で言った。
「・・・・・カカシ。お前それを言うか」
綱手はカカシを睨み付けて、ふっと笑った。
「良かろう。アタシは・・・」
「俺は間に合わないに賭けますよ、勿論」
「・・・・汚いぞ、カカシ」
「汚くなんかないですよ。俺は五代目に忠実なだけ」
「は。・・・わかったよ」
綱手はまた窓へ目を向けて笑った。
「朝一で伝書を出す。手配を頼む。状況に依ってはお前とガイに砂へ向かって貰う」
「ええ?ガイで間に合うデショ?何で俺が・・・」
「アタシに忠実なところを見せて貰うよ。伝書の手配がすんだら帰って休め。仕度を怠るな。ガイにも報せておけよ」
綱手は人の悪い顔で言うと、カカシが卓に置いた書類を手にとった。
「・・・・一度会ってみたかったのだが・・・」
「磯の者は腰が軽いですよ。良いも悪いもね。手元に留めておく事は難しくても呼べば来ると思いますよ。仲間も大勢ここにいるんだし」
カカシは朗らかに言って糸の目で笑った。
「ま、賭けに勝っても負けても、会えるって事です。いいじゃないですか、ソレ?」
「・・・ああ、会ってみたかったな」
綱手はカカシに笑い返して、拾い上げた書類を卓に投げた。
「帰って休め。すまなかったな」
カカシは見返してこない綱手を見、間を置いて頭を下げた。
「・・・・五代目も。失礼します」
「ああ」
執務室の扉が静かに閉まった。