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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第17章 火影の雑談


「あれが忌み血の為した事だと知れば、ダンゾウはどうする?」

「あの人は欲張りだからなあ。欲しがって憚らないでしょうね」

「そういう事だ。だから牡蠣殻を保護しようと思うのだが・・・」

「何の為に?その彼女、木の葉に残らなかったでしょ。保護ってのはちょっと違う気がするなあ・・・」

「ダンゾウの手に落ちると面倒な事になる。その前に手を打ちたい」

「なら本人に警告したらいい。彼女、どうやら暁とも繋がりがあるみたいだし、何も木の葉が保護する事はないでしょ。しかも今は砂の隠居のところにいるって聞きましたよ。ダンゾウも迂闊に手が出せないとこにいるって事ですよ。動かしたら反って危ない。事態を治めたいなら先ずダンゾウを牽制するべきだ。これはあなた以外誰にも出来ない」

カカシは一旦言葉を切ると、綱手の顔をじっと見た。

「第一、磯影には報せました?」

「・・・・磯はダンゾウと対峙出来る程強くはない」

「同盟を見くびったりして、五代目らしくもない。隠したり逃がしたりする事にかけちゃ木の葉は磯に及ばない。牡蠣殻自身も巧者だ。わざわざダンゾウと対峙する必要はないでしょ」

スッと目を細めてカカシは書類を卓に置いた。

「汐田に砂へ行って牡蠣殻を連れて戻るように言い使ったと聞きましたよ。何で事情も話さずにそんな事をさせようとしたんですか」

「シカマルか。アイツ、存外口が軽い・・・」

綱手は苦笑して瞠目した。カカシは眉をひそめて気遣わしげな表情を浮かべた。

「五代目。何を画策してるんです。・・・・あなたが医療に力を注いでいるのはわかります。牡蠣殻の血には大変な解毒作用があるそうですね。本当にそんな効用があるなら、欲しくなるのも無理はない」

「波平に聞いたか」

「アスマからの又聞きですがね。アスマは波平さんと仲が良い」

「そうか。そうだったな。アカデミー時代からの付き合いだったな、お前たちは」

綱手は苦笑いして、肘をついて組んだ手の甲に額を載せた。

「ガイも含めてね。何かにつけあなたらしくない歯切れの悪さは、あなた自身迷ってるからでしょう?今ならまだ雑談ですみますよ。三班を呼び戻して下さい」

「間に合えばいいがな」

顔を上げて綱手は窓へ目を向けた。

「ガイの三班は優秀だ」

カカシが眉を上げる。

「・・・間に合わなければ?」

「押し切る」
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