• テキストサイズ

(R18) Moulin Rouge (HQ)

第10章 xxx 09.彼氏(仮)



「何駄々こねてんだお前……これ以上親御さんに心配かけらんねーだろ。いいから帰んぞ、ほら」

「やっ……いやだ、俺、カオリといる」

「あ゙ァ?」

 おふす。これは見事に巻きこまれた。
 私を挟んで押し問答する研磨と黒尾。幼馴染として研磨を心配しているのだろうけど、彼と私を交互に睨む黒尾の顔ったら。

 まるで仁王像である。怖い。

「いい加減にしろ!研磨!」

 弟を諭す兄のような口調で言って、黒尾が研磨の腕を掴もうとした。

「カオリ……たすけて」
 研磨の、泣きそうな声。

「わ!私が、責任もって家まで送る!」

 言ってしまった。
 おまけに両腕まで広げて研磨を庇ってしまった。

 ただでさえ鋭い黒尾の目が吊りあがって、口端がヒクリと引きつる。これはヤられる。むしろ逮捕される。

 青よりも青く顔面蒼白になって黒尾の反応を待った。


「……ったく仕方ねえな。じゃあ研磨、お前、この店が閉まるまでここにいろ。当直終わったら迎えにくるから」


 ──過保護か。
 こうして、何がどういう訳なのか、私は研磨と夜を明かすことになったのである。

/ 254ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp