• テキストサイズ

(R18) Moulin Rouge (HQ)

第9章 xxx 08.遭遇



 早くここから逃げよう。
 身の危険を感じて逃走を試みるが、しかし、彼が簡単に逃がしてくれるはずもない。

「だーめ、逃がさない」

 その言葉とともに引き寄せられて、今度は、彼の両腕に閉じこめられる。

 挟まれたのだ。
 後ろから抱き締められるかたちになって、商品棚と、徹くんの間に。退路はない。

「そんなに怖がらないで」

 逃げ場を失って青ざめる私の耳に、及川徹の一番の武器が滑りこんでくる。




「……一緒にきもちいいこと、しよ?」




 背筋が粟立つほどの甘ったるい声。
 脳に直接毒を注入されたように、思考が、理性が、麻痺していく。

「ドロドロになるまで愛してあげる……俺で、カオリの、ここを」

 滑りおちた徹くんの手が下腹部を撫でた。

 グッ、と彼の身体が密着して、後ろから男を押しつけられる。硬くなったそれは、私の腰あたりでジワリと熱を増した。

「ん、俺……興奮してきちゃった」

 わざとらしい喘ぎ声のような喋り方。
 これが彼の常套手段なのだろうと分かっていても、その色香は、恐ろしいほどに濃い。

/ 254ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp