第1章 中学2年生
智也「では次、読解問題をやりましょう。」
あちらこちらから落胆の小さなため息が聞こえる。既に終了時刻を30分すぎてからの読解。多分1時間延長くらいで終わる。
女子「めっちゃ延長すんじゃん…。毎回こんな感じなのかな。丁寧なのはわかるんだけど、早く終わらせて欲しー。」
頬杖をつきながらぼやく。私は良いと思うけどね。丁寧なのは教師として褒めるべき所だし、イケメンだし?
智也「はい、では授業は終わりです。おつかれさま。延長しちゃってごめんね。徐々に延長は短くなるようにするから。」
先生の言葉を聞きつつ急ピッチで帰り支度をする男子たち。5分後にはもう男子がいない。早えーな。どんだけ帰りたかったんだし。女子は少し雑談をしていた。
女子「じゃあ帰ろっかぁ。美奈実、早く準備してよー。」
美奈実「ごめん、質問あるから先帰っていいよ!」
女子「マジか。じゃあ先帰るゎ。ばいばーい。」
美奈実「じゃあね!」
教室に先生と2人っきり。先生は机に向かって次回の授業準備をしていた。
美奈実「あの…先生。質問してもいいですか?」
ふっと先生が顔を上げた。近くで見ると目大きいんだね。
智也「おぉ良いよ。何かな?」
美奈実「この英作なんですけど…。この表現でも大丈夫ですか?模範解答と違うから自信なくて。」
智也「ん、これ?ちょっと見せてね。」
先生に私のノートとテキストを手渡す。少しだけ指先同士が触れた。先生の手、温かいね。
智也「あー、これでも大丈夫。同じ意味の熟語を使ってるだけで、文法もあってるから大丈夫だよ。」
美奈実「わかりました。ありがとうございます。」