【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第25章 夢√編 優しい嘘と最後のキス
(・・・・・・ジル?)
ジル「それに・・・・・・、貴女は婚姻を結ぶハワード卿の姿を見ていたくはないでしょう?」
「それは・・・・・・」
ジル「好きな時に・・・と言いましたが、ご決断は早いほうが良いかと」
そう告げるジルの指先の力が
緩められることはない。
(・・・・・・ジルまでそんな顔、しないでよ)
大切な人たちを、
辛い顔にしか
してあげることができない自分に
腹が立つ。
(・・・私にできることは、ここを去る・・・・・・もう、それしか無い)
事実だけをどうにか心で受け止めて、
私は静かに口を開いた。
「・・・・・・・・・解った。ジル、・・・私はここを出て行く」
私の言葉を受け止めるように、
ジルは眉を寄せた。
「・・・・・・だけど一つだけ、教えてくれる・・・?」
ジル「・・・ええ、何でしょう?」
ジルの表情を見逃さないように
私はすっと目を細めると、
ジルの瞳をしっかりと見据えた。
「・・・・・・本当に、ルイは公爵家のご令嬢と婚姻を結ぶの・・・?」
ジル「っ・・・・・・」
(・・・やっぱり)
表情は変わらないけど、
ジルが微かに息を呑んだ気がした。
ジル「ええ、本当です」
「・・・・・・・・・そう」
(・・・ルイもジルも、絶対に嘘をついてる)
でもそれがなぜだかは解らなくて。
私は現実を受け入れるしかなかった。
「最後に一つだけ、我がままを言ってもいい?」
ジル「・・・ええ」
「・・・今日一日だけ、プリンセスでいさせて」
ジル「・・・ええ」
「それから、・・・・・・ルイの時間も。もらっていい・・・?」
ジル「それでは一つではなく二つですよ、プリンセス・・・?」
(あ・・・・・・)
「ごめん・・・」
指摘されて視線を伏せると、
ジルがふっと笑う気配がする。
ジル「ですが・・・、貴女からの最後のお願いくらい聞いて差し上げましょう」
「・・・ありがとう、ジル」
困ったような笑みを浮かべるジルに
小さく笑い返し、
私は執務室をあとにした。