第12章 貴方が救世主?
「あァ、言い忘れていた。僕はサザーランド。雨が止むまでゆっくりしていくといい」
「ありがとう。私はアクア。こっちが…」
「知ってるよ。トラファルガー・ロー…二億ベリーの賞金首だったけ」
驚いた。
幾ら歳を取っていたって、こんな場所に情報が入ってくるとは思わなかったから。
さすがに億越えルーキーともなれば名前くらい知っているのかな。
「…そうだが。何故知っている」
「昔の職業柄、情報通でね…まァ、ニュース・クーから新聞を買ってるし」
「…」
ローの眉間のシワが濃くなった。隠す気のない怪訝の表情。
「そ、それにしても雨止まないね!早く止んで、」
「…息子が戻ってきたら、もっと便利な島に住めば良いだろう。此処に何かあるのか?」
空気の読めない男が、サザーランドさんに詰め寄る。
深刻なことかもしれないのに、なんともデリカシーの無い男だ。
「おれだったらそんな病み上がりの息子を、こんな場所で生活させようとは思わねェな」
「ちょ、ちょっとロー!」
「それほど、この島には拘りがあるのか?」
もうちょっと気が遣えないのか。フォローする私の身にもなってほしい。
今までこれの尻拭いをしていたのかと思うと、ペンギンの気苦労に同情する。
「別にこの島に何かがあるわけじゃない。……ただ」
「ただ?」
「此処は冬の無い、一年を通して夏だけの夏島。だから選んだんだ」
「…夏島だから?」
「あァ、ただそれだけさ…」
――――息子は、冬からの嫌われ者なんでね。