第11章 彼女の人生を大きく変える出逢いとは
「お、おい…」
「ん?」
アクアはなんでもない顔でおれの方へ顔を向けた。
近い。
自分から近付いた事は何度かあるが、彼女からは初めてで。
はっきり言っておれは動揺している。
おれとアクアの距離は0ミリ。
腕が当たっている、彼女の胸に。わざとやってるのかと思う。
そう思ってアクアの横顔を見るが、全くその気は無さそうに、「早く止まないかな」と空を眺めていた。
コイツは本当に、人の気も知らないで。
そう思ったら、今日一日アクアに振り回されてる自分がなんだか滑稽に思えてきて。
今まで女に振り回された事なんざ一度も無いのに。
「…!」
アクアの肩を掴んでおれの身体に寄せた。
「ろ、ロー…どうした、の?」
流石にアクアも、様子のおかしいおれに気付いたようで。先程までおれにひっついていたというのに、急に余所余所しくおれから離れようとしていた。
微かに赤く染めたアクアの頬は、どう見ても女の顔だ。