第11章 彼女の人生を大きく変える出逢いとは
「やっぱり降ってきたわね」
「あァ。落ち着くまで待つか」
おれとアクアは雨の当たらない木の窪みに並んで座った。
案の定、船の上から見えていた入道雲は雨を連れてきて。
カンカンと照らしつけていた太陽はすっかり隠れ、辺りは薄暗くなっていた。
「こんなに降るとは思わなかった…これなら大人しく船にいれば良かった」
暫くクルー達とビーチバレーをしていたアクアは、飽きたのかおれの元へ戻ってきて、大袈裟に腰を下ろした。
そしてふいに、ボトルに入った水を飲みながら。
「ねぇ。散歩したいんだけど」
「はァ?」
「森、散歩、行きたい」
ほんの数分前に降ろした腰を上げ、おれに背を向けて森の方へ歩いていく。
全く、自分勝手な女だ。
なんて悪態をつきながらも、その後ろを黙ってついていくおれは、中々の世話好きなんだと思う。