第11章 彼女の人生を大きく変える出逢いとは
その一言で、おれは今砂浜にいる。
もちろん海には入らず、木陰に座っているだけだ。
おれは能力者であって、海に浸かる気なんて更々無い。本来ならこんな場所に来たくも無い。
だが、それを全部投げ捨ててこの場にいる目的は。
「あ!アクアーこっちだよー」
ベポが船の方に向かって手を振る。
途端に各々遊んでいたクルー達は手を止め、一斉に振り返った。
それは、照りつける太陽と相まって眩しかった。
柄も何もないシンプルでスタンダードな黒の水着。ただ胸下のリボンだけがヒラヒラと揺れていた。
「ベポ…前にベポが選んでくれたやつ着たけど、なんかちょっと面積小さくない?」
アクアにも恥ずかしいという感情は人並みにあるらしく、口を尖らせ頬をほんのり染めていた。
色白で細い身体。華奢なくせに出る所は出て、締まる所は引き締まっている。
普段、美意識なんて皆無な彼女からは想像出来ないそのアンバランスな身体のラインは、おれを煽るのには十分過ぎる武器だ。
それはおれ以外にも言える事で。
「アクア!お前最高だ!」
悶絶する者に鼻血を抑える者、グッと親指を立てる者。あのペンギンですら顔を赤くしていた。
その様に眉間のシワを深くすると、それに気付いたクルー達はサッと目を逸らす。
全く、見世物じゃねェぞ。