第11章 彼女の人生を大きく変える出逢いとは
「得体の知れない島だ。偵察班以外は船に待機。問題なければ自由行動でいいぞ」
「アイアイ、キャプテーン!」
おれの声に威勢良く返事をするクルー達を背に、おれは船内へ入ろうと立ち上がった。
「…ねぇ。私は?」
小声でおれに問いかけるアクアの声に振り返る。
今までの態度とは逆転、おれの様子を伺うように上目遣いで見つめてくる。不覚にも胸がドクリと鳴ってしまった。
「…体調はいいのか」
「うん。比較的…」
「…なら、偵察が終わったらな」
「!」
おれがそう言えば嬉しそうに笑う。
前まではクスリともしなかったくせに。こんなにも簡単に笑顔を見せてきて。
この船に打ち解けてきた証拠なんだろう。
気付いたら、おれの口角が上がってきて。いや、どちらかというとニヤケている。
そんな情け無い格好を見られたくなくて、名残惜しい気持ちを抑え、踵を返した。
「ありがとう…ロー」
小さく呟いたのは、初めて呼んだおれの名前。
そんな些細な一言で、おれの世界が色付くんだ。