第11章 彼女の人生を大きく変える出逢いとは
冬島を出てから一週間。
指針が指す次の島までは一ヶ月かかるらしく、急ぎの旅でもないこの船は、穏やかな海を軽快に進んでいる。
「んー、ちょっと暑くなって来たなー」
天日干しをしたいというベポの希望で、海上を走る船。
先程までは心地良かった風は止み、水平線が蒸気でゆらゆらと揺れ始め、気温が上がってる事は一目瞭然。
おれや他のクルー達は若干でしか感じない暑さも、毛皮に覆われているベポにはどうやら辛いようで。甲板に寝転んでいた。
「暑いなら中に入ればいい」
「ダメだよー、洗濯物ちゃんと見張ってなきゃ!」
風も吹いていないのに、見張る必要があるのか。
「丁度良いタイミングで取り込むんだ、っていつもアクアが言ってたから」
この船の洗濯係はアクアだ。だけど彼女は此処にいない。
冬島でドフラミンゴと遭遇し、そのまま倒れたあの日以来、再びアクアは体調を崩し寝込んでいた。
彼女もこんな短いスパンで寝込んだ事はないと言っていた。
どうにかしてやりたいと思う反面、彼女の病に対する情報が少なすぎて、手の討ちようが無い。せめて医療大国か大量の書物を保持している島に着ければ。
「暑いねーキャプテン」
「あァ」
何度目かのベポとの同じやり取り。おれは寝転がるベポの腹に寄りかかって空を見上げた。
遠くに見えるのは入道雲。雨でも降り出すのだろうか。