第10章 虚栄心がまるでジェンガのように
目が覚めたら、もうすっかり見慣れた天井が映った。
視線を窓に向ければ、遠くの空に星が見えて。なんだか長い間眠っていたような気がする。
ゆっくりと起き上がり部屋を見渡せば、ソファーの向こうに藍色の髪。
それが誰なのか直ぐに分かって、ホッと胸を撫で下ろした。
「起きたのか」
布が擦れた音に気付き、トラファルガーは振り返る。
私が小さく頷くと、ソファーから立ち上がった。
「私、気を失ってたみたいね…」
「あァ。腹は減ってないか?」
「…少し」
「持ってくる」
一度、私の頭をポンポンと撫でたあと、部屋を出て行った。
彼が居ない部屋は、何故だか空気が重い。
その理由を探してみれば。
“フフッ、おれを知ってんのかァ?”
「…ドフラミンゴ…っ」
ただ私の心を掻き毟った男の不気味な顔だけが、頭の中を支配する。