第10章 虚栄心がまるでジェンガのように
「はぁ、はぁ…っ」
急いで船着場に着くと、目当ての黄色い船は普段と変わらない姿でそこにあった。
やっぱり余計な心配だったか。嫌な予感が外れて、ホッと胸を撫で下ろす。
良かった、なんて安堵している自分に嘲笑して、ゆっくりと梯子を昇った。
「んん?なんだ…女も乗っているのかァ?」
――――どうして、此処に。
なんて言葉は口から出る事もなく、私はただ唖然と目の前の光景に目を疑った。
「フフッ…そうかァ、お前に女が出来るとは…」
「アクア!こっちに来るな!!」
トラファルガーが私の前に立ち、これ以上近寄るなと腕を上げて制した。
だけど、そんな彼が視界に入ってこないくらい、私は薄気味悪く笑うその人物から目が離せない。
その不敵な笑みから思い出すのは、あの日の出来事。
嘲笑うように私の島を襲ったあの男が…
今、此処に…!
「ドンキホーテ・ドフラミンゴ…!!」
「フフッ、おれを知ってんのかァ?」
ただ一人、許せない男は、あの頃と同じ笑みを浮かべていた。