第9章 言葉では伝えきれない想い
「な…なに…?」
「正直に言ってみろよ、おれがいないと寂しいって」
「ちちちちがうってば!」
「くくっ、素直じゃねェな」
もう隠し切れないほど顔を赤らめるアクア。それがなんとも可笑しくて、愛しい。
おれの理性は完全に欲に支配され、未だ赤いアクアの顔にゆっくりと近付いた。
「…」
「…」
寸での所でその行為を留める。
前回、何気なしに口付けをした後に頬を思い切り引っ掻かれた。それ以来顔が近付いただけで、アクアは顔を顰め、戦闘態勢をとる。
なのに、なんの反応も無い事が逆に不自然で。
アクアはただ黙って固まったままおれを見上げていた。
「…今日は拒否らねェのか」
「さぁ…どうしてかしら」
彼女の気持ちが何処にあるかわからない。
きっと本人もわかっていないだろう。
ただ、“嫌ではない”、それだけは確かなようで。
「…よく見ればキレイな顔立ちしてるのね」
再び顔を近付けると、そう小さく呟いた。
彼女がおれを拒まない事が嬉しくて。ゆっくりと目を閉じた彼女の唇を塞いだ。
【言葉では伝えきれない想い】