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【外科医】 キミ色に染まる  【完結】

第8章 荒れていた心に滲んでいく優しい光



 私は本当に、彼の事を何も知らない。

 夢を追う為、仲間達と故郷を出たと思っていたのに、そんな生易しいものじゃなくて。



「船長もフレバンス唯一の生き残りだったが、その身体は当然白鉛病に冒されていて、余命が約三年。折角助かったのにな。そんな人生と世界に嫌気が差し、目に映るもの全てを壊してやりたいと、ドフラミンゴの傘下に入ったんだ」
「…だから、あの一味に…」
「その頃の船長は、アクアと同じように生きる希望を無くしていた。だがな、そこである人と出逢う。ドフラミンゴの弟、コラソンという男だ」
「…弟」
「彼に出逢って船長は変わった。彼は必死に船長の病を治す為に、危険を省みず命を張って…そして、ある事件があってな。目の前でドフラミンゴに殺された。」


 なにそれ。

 いつも人を見下してるその瞳の奥に、そんなものを隠していただなんて。
 どんな時でも余裕綽々に笑ってみせるくせに。



「これを聞いてどう思うかはアクアに任せる。だけどよ…船長もいろいろと背負って乗り越えてきたんだ。似た境遇のアクアの気持ちを誰よりも分かっていると思う。だから、アクアも船長の事を否定しないでくれよ」

 普段おちゃらけてるシャチも、真剣な顔つきで。初めて見るその顔に少し戸惑ってしまう程。

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