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【外科医】 キミ色に染まる  【完結】

第8章 荒れていた心に滲んでいく優しい光



「こんな寒い部屋にいたら、また風邪引いちゃうよ」

 そう言ってベポは、私の肩に自身の部屋から持ってきたであろう毛布を掛ける。ベポの匂いが染み付いたそれに、心が落ち着く。


「話って…何?」
「まぁそんな急ぐなって」

 シャチは近くにあった空箱の上に腰掛けた。

 急ぐなといわれても、話があると言ってきたのはそっちじゃないか、そう思ったけど。
 きっと彼らは私を心配して来てくれた訳で。流石にそんな野暮な事は言わないでおく。


「これはおれ達が言う事ではないのだろうけど…あの人はきっと余計な事は言わなくて良いと思っているだろうから…第三者からだが、聞いてほしい」

 一体なんの話なのだろう。
 先程のトラファルガーの言葉を弁解にでも来たのだろうか。

 私は怪訝な顔で口を開いたペンギンを見つめた。


「さっき、自分と船長の抱える重さを一緒にするなと言ったよな」
「…言ったわ」
「おれはアクアと船長の辛さが同じだとは思わない。それは本人が決める事だ。…だがな、あの人も最初から周り支えがいた訳じゃないさ」

 ペンギンが何を言いたいのかさっぱり分からなくて、眉間にシワを寄せる。それを見たペンギンに「そう睨むな」と苦笑いをされた。

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