第8章 荒れていた心に滲んでいく優しい光
どれくらい時間が経ったのか。
気付けば窓から差す光はオレンジ色に変わっていて、部屋は私が入った時よりも暗くなっていた。
折角体調も良くなって部屋から出れるようになったのに。私はどうして、こう籠るのが好きなのだろうか。
客観的に見て自嘲気味に笑う。
ふと、扉の向こうに気配を感じた。
鍵を閉めているとはいえ、強引に開けられるかもしれないと、私は身構える。
「…アクア。いるんでしょ?」
声の主はベポだ。
「少し、話がしたい。船長はいないから…開けてくれないか?」
続いて聞こえたのはペンギンの声。それと話し声…多分シャチのもの。
「…」
流石に一生此処に籠っている訳にはいかない。
私はゆっくり立ち上がり、扉を開けた。