第1章 夢の中よりも軽やかに笑った
暫くして、何やら外が騒がしくなり、店の扉が盛大な音を上げて開かれた。
横目で見ればべポと同等だろうか。大男が3人と、それに似合わない一人の少女。まァどう見ても無理矢理連れて来られた、という所か。
「す、すみませ…私、あの、仕事が…」
「つれねェ事言うなよ嬢ちゃん。それともおれらとは酒が飲めねェってのかァ?」
「いえ、あの…」
腕を掴まれ、嫌々席に座らせられた少女は涙目だ。
不憫には思う、だが別に人助け稼業でもあるまいし、助ける義理もねェ。おれはカウンターに向き直し、店主に同じ酒を頼んだ。
「ねぇ、キャプテン。助けてもいい?」
べポは小声でおれの顔を伺う。
ハートの海賊団一の戦闘能力を持つべポなら、大男だろうと余裕に倒せるだろう。とは言え、面倒事は御免だ。
「放っておけ」
「でも…」
べポは眉を寄せた。こいつは気が優しすぎる。もう少し自分が海賊である事の自覚を持つべきだ。