第1章 夢の中よりも軽やかに笑った
辿り着いた島は秋島で、天候も気温も丁度良く、空気が澄んでいる。
べポに「早くー!」と急かされ、小さく溜息をつき、少し急ぎ足になれば街並みが見えた。街と言えど、大した事のないものだが。
そこは、なんとも普通の街だった。
ただ、人が住んで暮らしている、そんな印象だ。
とりあえずログがどのくらいで溜まるのか情報を得る為、最初に見つけた酒屋に入る。店内にはガラの悪い連中が何人かいたが、気にせずカウンターに座り、店主に酒を頼んだ。
店主に話を聞くと、どうやらこの島のログは半日で溜まるらしい。
「あんまり名所とかないみたいだね」
「みてェだな。物資の調達を済ませたら島を出る」
何もない島に無理して留まる必要はない。それよりも次の島へ行き、“あの男”の情報を得た方が得策だろう。
航海士のべポは次の島への経路を店主に尋ね、その隣でおれは黙ったまま酒の入ったグラスを口に運んだ。