第7章 こんな状況でさえ、流れる涙が無い
「あんなやつの為に死ぬんじゃねェ」
トラファルガーは相変わらず眉間にシワを寄せている。苦痛にも似た顔で。
「…仮にも元上司だった男に、随分な物言いね」
「………おれも、あいつに大切な人を殺された」
「!」
「この船の最終目標はラフテルだ。だがその前に、ドフラミンゴを討つ」
この海賊団の旅の目的を私は知らなかった。
まさか、彼も私と同じだなんて。
「なら、私と一緒じゃ、」
「…おれ達は何年も前からヤツを陥れる策を積んできた。運良く遭遇したら倒そうと思うお前とは訳が違う」
「…っ」
慎重派の彼らは、緻密に作戦を練っているのだろう。
行き当たりばったりで、尚且つ例え負けても悔いはないと思う私とは別物だ。
「だったら、私もその作戦に加えて…」
「…お前はいざドフラミンゴを目の前にして、感情的にならずにいられる自信はあるか?」
「!?…それ、は…っ」
「時期が違ければ例え遭遇しても戦わねェ。残虐を繰り返す行為に目を瞑らなきゃならねェ時もある」
――――お前はそれに耐えられるか。