第7章 こんな状況でさえ、流れる涙が無い
そう、当時散々騒がれた割には未だに犯人は不明、という事になっている。
だけど私は、はっきりと港から出て行く海賊旗を見た。確信はない、だけどそいつらに間違いない。
その後、そのマークを掲げた海賊を調べたら、そいつらならやり兼ねないという情報ばかり入ってきたから。
「でも、目星はついているの」
不敵に笑う海賊旗。人を見下すようなマーク。
一生忘れられない。その海賊の名は…
「…ドンキホーテ・ドフラミンゴか」
「!………そうよ」
流石は“北の海”出身の億越えルーキー。誰もが突き止められなかった真実を彼は知っていた。
「恐らく今“新世界”にいる。“赤い土の大陸”を潜った先に、やつらが…」
もう少しなんだ。私の復讐劇が始まるのは。
あとちょっと、それが終われば私は思い残す事無く…
「…やめておけ…!」
そう言い放ったトラファルガーの額には、薄らと汗が滲んでいた。
低く冷たい声が私の胸に突き刺さる。