第7章 こんな状況でさえ、流れる涙が無い
「へェ…じゃあ、アクアは冬島出身なのか」
「私は“北の海”出身よ」
「え?じゃあおれ達と同じ…」
「そうね。案外ご近所さんかもしれないわ」
海賊の情報なんて、私の島を襲ったやつら以外興味はないけど、同じ“北の海”出身で億越えルーキーとなれば、嫌でも耳に入ってくる。だから私は彼らを知っていた。
”北の海”に思入れなんて特にないけど、少なからず親近感は沸くもの。
私は「偶然だな」なんて返事を予測していた。
だけど、私が“北の海”出身だと告げた途端、四人とも目を丸くして眉間にシワを寄せた。普段ニコニコとしているベポやシャチでさえも。
私には何故皆がそんな表情をするのかが分からない。
「聞くがアクア…お前の故郷は“マテリア島”か…?」
一番に口を開いたのはペンギンだった。
「えぇ、そうよ」
「…そうか」
私がそう答えると、また黙ってしまった。
一体何を考えているのだろうか。