第4章 愛しいだなんて、柄に無く思った
そこでベポとシャチはアクアを街に連れ出し、“今時女子にしてやろう”という魂胆を企て、おれに連れてくるよう頼んで来た。
自分達で誘えば良いものを、とも思ったが正直おれもアクアが普段とは違う“女らしさ”には興味がある。
だから一つ返事で応え、こうして共に街を歩く。
さすがに女物の服屋に入るのは気が引けて、ベポに任せっきりだ。
だからどんな服を買っているのかは分からないが、ベポのセンスは悪くはない筈。予め多目に金を渡し、おれ好みで、とは言っておいたから。
段々と増えていく手荷物に密かに期待が高まっていた。
「よし、大体揃ったから次のお店で着替えよう!」
「着替えようって…何処で?」
「次は美容室ね!着替えくらいさせてくれるでしょ」
「…はぁ」
彼女は呆れているのか、散々連れ回されて疲れたのか。もうどうにでもなれというオーラがひしひしと伝わってきて、それも可笑しく思う。
だが、その中でも自分の為に必死になっているベポの行為が嬉しいのか、時折薄らと口角を上げているのおれは見逃しはしない。そ
の普段は見せない優しい目許も。ベポに向けられているのは少しだけ悔しくも思うが。