第4章 愛しいだなんて、柄に無く思った
島には桜が舞い散っていた。
嫌でも視界に入るそれに少しばかり鬱陶しくも思うが、夏島でないだけマシか。
ペンギンの言う通り、観光地らしいこの島は海賊よりも一般人が敷き詰めていて賑やかだ。
「アクア!早くおいでよー」
「ちょ、待ってよベポっ」
渋々島に下りたアクアは、はしゃぐベポに腕を引かれ戸惑いの表情を浮かべていた。
おれと言えばその姿を後ろから眺めている。
「やっぱアクアも女ですからね。お洒落くらいしてもらって、船の華になればいいっすね」
隣を歩くシャチも、その風景を微笑ましく見ていた。
アクアの元は悪くない。
ただ画質と言うか、動きやすさ重視の彼女はロングTシャツにチノパン、そしてざっくりと結ばれたポニーテール。とても年頃の女とは思えない、良く言えばラフな格好だ。
それが似合わない訳ではないが、少しは磨けば良いのにとおれを含めクルー達の希望。
だがそれは虚しくアクアの胸に響く事はない。