第1章 夢の中よりも軽やかに笑った
「キャプテーン。起きてよー」
体が揺さぶられて重たい瞼を開けた。
目の前にはおれの顔を覗き込む白熊。一瞬、身の危険を感じたが、それが自分の船に乗るクルーだと思い出して、少しばかり安心する。
「今日は良く寝てたね」
「…二度寝したんだよ。朝方あの女に起こされてな」
「最近やたら夢に出てくる女の人、だっけ」
あぁ、と言ってベットから降りた。
たまに見る、なんてものじゃない。寝る度、毎回だ。ここの所、寝ようと目を閉じるだけで。
「どんな意味があるんだろうね」
「さァな。おれが聞きてェよ」
本当に困ったものだ。
あの女が現れる度に目を覚まし、唯でさえ寝付きが悪いおれの睡眠を邪魔する。一体何の意味があるのだろうか。聞きたくても、いない女に文句も言えないが。
「キャプテンの運命の相手だったりして」
「ハッ、下らねェ事言ってねェで、何か用があったんだろ」
あ、そうそう!と思い出したかのようなべポは、満面の笑みでおれを見た。