第1章 夢の中よりも軽やかに笑った
「……またか」
窓から差した眩しい光に目を細めた。
ここ最近、同じ夢ばかり見る。
覚えてる限り、会った事もない女が、切なく笑ってそう言う。それが何を意味するのかは全く分からない。
ただ、その微笑みはおれの胸まで締めつける。今にも泣き出しそうなのに、無理して笑うその顔が。
「そんな顔するなよ…」
何故かそんな言葉が口を衝いで出てしまって。掻き消すように無理矢理目を瞑った。
たかが夢なのに。その女に会いたいと願ってしまう。
「…お前は誰なんだ…」
おれと同じ藍色の髪をしたその女に。