第3章 もう涙は枯れ果てた
翌日、朝食の為食堂に顔を出せば、昨日私に群がって質問してきた面々に再び囲まれた。
しかも朝一番の開き口に言われたのは、有ろう事か「昨日の夜はどうだった?」だ。
あまりにも不適切な質問を投げ掛けて来た男を蹴り飛ばし、美味しそうに焼かれたトーストを口に運ぶ。
これだから、海賊は下品で嫌いだ。
海賊に限らず、世界中の男に言える事だけど。
「でもアクアからキャプテンと同じ匂いがするんだよねー」
「お前、それはマーキングってやつじゃ、」
「………」
「す、すみません」
調子に乗ったシャチを一睨みすれば、彼は大人しくなる。
それを横目に薄ら笑った“ペンギン”帽の男は私の耳に視線を向けた。
「恐らく、船長と同じピアスから発する物じゃないのか?」
「あ、そっか。それだね、流石ペンギン!」
“ペンギン”帽の男は、どうやらペンギンと言うらしい。この大人数、しかも皆同じつなぎを着ているから覚えやすくて助かる。
「酷いでしょ。寝てる間につけられたのよ。しかも外れないの」
「はは、しっかりされてるじゃないか、マーキング」
苦笑いを浮かべたペンギンは、私の心中を察してくれているみたいで。唯一の理解者がいる事に少しばかりホッとした。