第3章 もう涙は枯れ果てた
「決まってんだろ」
「え、うわ…っ」
急に腕を掴まれ引かれた。その反動で私はトラファルガーの身体の上に覆い被さるように倒れる。
「なっ、お、起きて…!」
狸寝入りなんて、何処までも性格の悪い男だ。
慌てて身体を起こそうと腕を立てれば、間近に在る彼の顔に胸が跳ねた。
彼の瞳は、私を捉えて逸らさない。射抜かれるような真剣な眼差しに、呼吸する事も忘れてしまう程。
「な、何、よ…」
私は今どんな顔をしているんだろう。
想像なんてしたくない。顔中に広がる熱が、それを物語っているから。
「運命やら奇跡やら、あまり信じる性質じゃねェが…」
「…?」
「おれはずっとお前を待っていた」
何を言ってるのか意味が解らない。
運命?奇跡?ずっと待っていた?
「は、何言って、」
「お前はおれのもんだ」
はっきりと感じたのは、重なった唇の熱。