第3章 もう涙は枯れ果てた
「ところでトラファルガー、私の部屋はあるのよね?」
食事も終わり、着いて来いと言わんばかりの視線を送られ、従う。逆らって心臓を潰されても堪らない。
ため息をつきながら、渋々歩いていく彼の背中を追った。
「あァ、おれと同じ部屋だ」
「はあ?絶対嫌なんだけど!」
「…へェ。おれに逆らうか」
「………ワカリマシタ」
ニヤリと笑う彼の掌に、自分の心臓らしきものが見えて、納得せざる負えなかった。
どうやらこの男は、悪魔の実の能力者らしい。それがどんな力かは判り兼ねないけど、そう簡単に“瞬間移動”能力を発動されては、何も出来ない。
暫く歩いた後、トラファルガーはある部屋の前に止まり、躊躇無く扉を開けた。
中を覗けば、ベッドやらソファーやら机やら。所謂、船長室という部屋だろう。
勿論ベッドはどう見たって一つ限り。
あァ、私はソファーで寝るコースですか。ちゃんとしたベッドじゃないと疲れが取れる気がしないなー。
私はわざとらしく溜息をついた。