第3章 もう涙は枯れ果てた
「おれも少し興味がある。その体術何処で覚えた?」
次に質問してきたのは、シャチの隣に座る“ペンギン”と書かれた帽子を被る男。
顔はよく見えないけど、雰囲気から冷静さを感じる。あぁ、私を捕まえた男だ。
「私の住んでいた島には、獰猛な動物が多かったから。小さい頃から鍛えられてきたの」
「へぇ…どうりで大男相手に戦えるわけだ」
返事をしたのはトラファルガー。
私はペンギン帽に答えたのに、何故だかこの男が勝ち誇った顔をしたように見えて、急に悔しくなる。
だけどそんなのも相手にする気に慣れなくて、黙々と箸を進めた。
その後も食事が終わるまで、ほとんどが質問攻めだった。
歳はいくつだとか、なんで旅をしているのだとか。でも全て答えるのはあまりにも億劫で、半分以上流したと思う。
馴れ合うつもりは微塵にも無い。私は海賊が嫌いなんだ。
話をした感じ、他の凶悪な海賊のような雰囲気は感じられなかったけど、所詮海賊は海賊。
…大嫌いだ。