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【外科医】 キミ色に染まる  【完結】

第3章 もう涙は枯れ果てた




「えー今日からこの船に乗る事になってしまったアクアです。好きな物はサンドイッチ、嫌いな物は海賊。よろしくどーぞ」


 不貞腐れながらも食堂に集まった船員達に挨拶した。私の嫌味たっぷりの言葉に、その場にいる者全員固まっている。
 唯一、私をこの船に乗せた張本人だけが、笑いを堪える様に肩を揺らしていた。






「アクアって言うんだね、おれはベポ。よろしくね!」
「…白クマが喋ってる…」
「喋ってすみません…」
「「「打たれ弱っ!!」」」

 ベポ、と名乗る白クマがしょんぼりすると、近くにいた船員達が全員で突っ込んだ。なんなんだコイツら、と思いながら目の前に出された食事に手を伸ばす。

 うん、海賊船のくせに飯は悪くない。


 すると、気を失う前に私が倒したキャスケット帽の男が正面から私をじっと見つめていて、気持ちが悪くて「何?」と素っ気無く尋ねた。

「お前さ、すげェ強ェけど何者なんだ?」
「人に物聞く前に、自分から名乗ったらどう?」
「あ、悪ィ。おれシャチ」
「…完全に名前負けね」
「う、うるせェ!じゃなくて!お前一体何者なんだよ」
「別に、答える義理がない」
「くぅ~っ、コイツ本当に可愛くねェ」

 悔しそうにしたって、自分が負けたのが悪いのに。煩い男だなぁなんて思いながら、まだ話しかけてくるシャチを無視をする事に決めた。


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