第24章 キミ色に染まる
ペンギン、シャチと別れて本屋へ向かう。
あまり人気のない島のようで、お陰で違和感ありすぎるうちの白くまを見て騒ぐ者は少ない。なんでも「ハイキングベア」というベポよりもデカい礼儀の正しい熊がいるようで、熊が歩いている事は不思議ではないのだとか。
変わった島があるもんだ、と思いながら俯き加減に口角を上げる。
すると、急に立ち止まったベポの背中に思い切り顔面を打ち付けてしまった。
「おい…てめェ急に止まるな」
「ご、ごめんキャプテン!でもね…」
あまり悪いと思っているような態度ではない事に癇に障ったが、ベポは鼻を動かして周囲の匂いを嗅いでいて、何事かとその姿を見ていた。
「この匂い、知ってる」
嗅覚に集中するために瞑っていた目が急に開かれた。まるで野生の獣のような普段見せない目つきに、不覚にも一瞬驚く。
「…こっち!」
「お、おい…!?」
急に襲ってきた浮遊感。
ベポに担がれたおれは成す術もなく、一心不乱に駆け出したベポの行動に疑問符を浮かべていた。
一体、どこに向かおうとしているのだろうか。
そして、知ってる匂いとは…