第24章 キミ色に染まる
ベポが言った通り、着いた島は冬真っ最中で雪に覆われていた。
一面の銀世界に、故郷を思い出す。
「せんちょー、さすがに寒すぎじゃないですかー」
「うるさいぞシャチ。自分で行きたいと言ったんだろ」
「…冬島よりペンギンの方の言葉の方が冷たい…」
寒い寒いと嘆くシャチに、溜息をつくペンギン。そんな二人を横目に雪道を歩く。
「もうじき街に着く。店に入るまで我慢しろ」
「アイアイ、キャプテーン…」
シャチにそういえば、掠れた声で返事をしてくる。
その声に情けない、と再び溜息をついたペンギン。
そして踏む度に高い音を鳴らす雪に、ベポは愉快そうにはしゃいでいた。
「ふー、あったけェー!」
店に入るなり常備されているストーブを見つけたシャチは、足早に近づき手を翳す。
そこから一番近いテーブル席に腰を下ろすと、店主が近づいてきた。
適当に酒を頼み、運ばれてきたグラスに口をつける。
いつもより度の高いアルコールに喉が熱くなった。
「お嬢さん、この島のログは?」
全員が一杯飲み干し、追加注文に呼んだウエイトレスにペンギンが問いかけた。
この島のログは二日ほどで溜まるらしい。
それを聞いたベポはそれまでに本屋に行きたい、と言い出した。
おれもいい加減、船にある本には読み飽きていたし、それなら先に済ませるか、と二杯目を口に運んだ。