第23章 脈打つ度に貴方を感じる
「アクア、そろそろ出航する」
この船上では見慣れない人物。
革命軍参謀総長サボ。
私は今日から…この人たちの世話になるんだ。
「よろしくお願いします」
「はは、そんな固くならなくていい」
私が持つ鞄を手に取り、サボはローの前に立った。
「責任持ってお預かりします」
「あァ…よろしく頼む」
二人はどちらからともなく握手を交わした。
“死の外科医”と“参謀総長”。
こんな光景二度と見れないだろう。
「じゃあ…行くね」
「あァ。連絡しろよ」
「ん…」
ローは私の額に小さいリップ音を鳴らして離れた。
もう、私の涙腺は崩壊寸前だ。
でも、目一杯泣いたから。
今日は笑って別れるって決めたんだ。
だって、必ず会えるから。
少しだけ、ほんの少しだけのお別れだから。