第23章 脈打つ度に貴方を感じる
「寂しくなるな」
開かれた道の先に見つけた三つの影。
ベポとシャチはすでに号泣していて、ペンギンはうっすらと目が赤くなっていた。
「三人には本当にお世話になったわ。ありがとう」
「うぅ……アクア-っ、やっぱり寂しいよォー!!」
「お、お前…絶対戻ってこいよなァ!!」
駆け寄ってきたベポとシャチに抱きしめられる。
少し苦しいけど、その想いが嬉しくて。鼻の奥がツンとした。
「ペンギンも…ありがとうね」
「あァ。おれたちはお前ならいつでも歓迎だから」
「…うん」
どうして、こうも私の涙腺を擽るのだろうが。
今にも涙が溢れそうだ。
「船長の事なら任せろ」
「ふふ、ペンギンなら安心ね」
「…なんだ。おれはペンギンの監視下にあるのか」
不機嫌そうな低い声。
振り向けば、相変わらず目の下に隈を携えた船長さん。
「信用できないのか」
「だってローはモテるじゃない」
嫌味っぽく笑ってみせれば、口角を上げた彼は。
「お前もおれにしておくか?マーキング」
そう言って私の耳へと手を伸ばした。
同時にシャリンと鳴った二連のピアス。
出会った日に、逃げられないようにと強制でつけられたものだけど、思えば私は一度も船を降りようと思ったことがない。
何だかんだ、ここは居心地が良かった。