第23章 脈打つ度に貴方を感じる
「アクア-、支度出来た?」
「うん。今行く」
先に甲板に持ってくね、と扉の前に積んであった荷物をベポが持って行く。
私は追うように部屋を出て、振り返った。
―――少し殺風景になったかな。
元々私の荷物が多かったわけではないけど、なんだか物寂しく感じるのは、今日でこの部屋とはお別れだからか。
「ふふ、いろいろあったな」
思い出したらきっとキリがない。
それにまた泣いてしまいそうだから。
「…また、ね」
甲板に出るとこの船のクルーたちが集まってた。
きっと皆見送りをしてくれるんだろう。
「アクア-!元気でやれよォ!!」
「必ず治して戻ってこいよー!」
ひとりひとりの顔を見ながら、私が通るために空けられた道を歩く。
あれほど海賊が嫌いだったのに。
涙ぐむ彼らが愛しくて、思わず微笑んでしまう。