第22章 何度でも、また私を見つけ出して
「…嘘…」
「嘘じゃねェ。だからお前に初めて会った時は驚いた。現実にあの女が存在してる、と」
「…私、」
「だからおれは信じる。お前となら、」
―――運命だろうが奇跡だろうが、お前となら信じてもいい。
「…ロー」
「そんな柄じゃねェのにな」
「…」
「全く、お前には本当に手を焼く」
ローは私の頭を撫でる。
ゆっくりと、私が泣き止むように。
私を見つめる瞳は、やっぱり優しいそれだった。
「本当は…アクアを側に置いておきたい」
「…」
「だが…今優先すべきはおれの隣にいることじゃねェ。その病を治すことだ」
私の頭を撫でていた掌は離れ、代わりに身体が熱に包まれる。そして私を抱きしめながらも、ローは再び私の頭を撫でた。
まるでわがままを言う子供をあやすように。
今は亡き両親の顔が甦る。
「おれだって本当は嫌なんだ。でもこうするしかない」
「…ん」
「お前が戻ってくるのを待ってる」
ふと身体を離したローは、私の肩を掴んで。
「大丈夫だ。おれたちの出会いが運命なら、必ずまた会える」
「………ロー…っ」
「お前の病も治る。医者が言うんだ。間違いねェよ」
「ふふ…、そうね……じゃあ、私も」
―――あなたとの奇跡を信じよう。