第21章 どうか、彼女が笑っていられる世界を
「!」
ペンギンは肩を揺らした。
そんなバカな、とでも思っているのだろう。
しかし、そうとしか思えない証拠だらけなんだ。
「刃物とはまた違う切れ口…まるで紙か糸で切ったような綺麗な切り傷だ。それに近くに羽根のような物も落ちていた。間違いないだろう」
何故ドフラミンゴがその場に居たのか。
何故おれではなくアクアだったのかは分からない。
敵を取るのはアクアの一方的な想いであって、ドフラミンゴは知らない筈だ。
なのに、何故…
「ほぼ確定しているが、詳しい事はアクアしか分からねェ。こいつが目覚めたら問いただすつもりだ」
「…分かりました。あんまり無理させないようにお願いします」
分かってる、と答えたおれにペンギンは頼みますよ、と念を押して部屋を出て行った。
彼はすっかりアクアの保護者になってしまったらしい。
そんな彼の後ろ姿を見つめ、自然と口角を上げていた。