第21章 どうか、彼女が笑っていられる世界を
控えめなノック音に返事をすると、扉を開けたのは険しい顔をしたペンギン。
「アクアは…どうですか?」
そう言って足音を立てずに部屋に入ってくる。
いつもは冷静沈着な彼が、ここまで頼りなく見えたのは初めてだ。
「容態は安定している。直に目を覚ますだろう」
「そうですか…良かった」
ベッドで眠るアクアの顔を覗き込み、ペンギンは安堵の表情を浮かべた。
輸血の甲斐あって、最悪な事態は間逃れた。
顔色はだいぶ良くなったが、未だに目は閉ざされたままで暫く起きる気配は無い。
やれるだけの手は尽くした。
後は彼女自身の問題で、意識を取り戻す事を願うしかない。
アクアなら大丈夫だ。そう思う他無い。
「……アクアを襲った人物ですが」
ペンギンの言葉にアクアへと向けていた視線を上げた。
「あァ…検討はついている」
止血をしている最中に、相手を特定出来る証拠を探した。
そして調べれば調べる程、そんな馬鹿な、としか思えない人物が浮かび上がる。
そいつは…
「…ドフラミンゴだ」