第21章 どうか、彼女が笑っていられる世界を
“どうか忘れないで”
アクアが放った言葉の意味を探す。
だがどう思考を巡らせても最悪な事態しか想定出来ない。
こんなに愛しているのに。
君は何故おれから離れようとする?
「……ゴホッ、…はぁ、はぁ…」
暫く思考停止していたおれは、アクアの咽た声で我に返った。
もうおれの服までぐっしょりと赤に染まっている。
呆然としている場合じゃない。
「…何言ってやがる…」
握った拳が震えた。
「……はぁ…、ロー…」
「勝手に死ぬなんざ…おれが許さねェ」
血に塗れたアクアの身体を支えているベポが狼狽えている中、おれは彼女の肩を強く掴み。
「このおれがいるのに…簡単に死ねると思うなよ…!」
「…ろ、ぉ……」
死なせやしない。
忘れないと誓う必要もねェ。
アクアは、絶対に…!