第21章 どうか、彼女が笑っていられる世界を
「船長!」
その光景を呆然と見ていたら、ペンギンに肩を掴まれ身体を揺らされた。
「まだ…まだ、息をしています!」
「…!」
「貴方は医者でしょう?!アクアを助けられるのは貴方しかいません…ッ」
やっと動いた重たい足でアクアに近付く。
ベポに抱き上げられた彼女の首元に手を這わせれば、弱弱しく脈を打っていた。
生きてる。
だが夥しい出血の量。
早く止血をしなければ、一刻を争う。
「ペンギン、オペ室の準備をさせろ。シャチは大量の包帯とタオルを用意しておけ!」
「は、はい!」
「了解!」
迅速に指示を送れば、二人は船へ走っていった。
他のクルーも手伝え、と同じように船へ戻っていく。
残ったベポに、衝撃を与えないようにゆっくりとアクアを横抱きにさせ、おれの能力で移動しようと手を翳した。
「……う…、ろ、ぉー…?」
「!……アクア…ッ」