第20章 群青色の空と、鮮血の赤
「フッフッフッ…それが例のやつかァ」
ドフラミンゴはゆっくり私に歩み寄ってきた。武装色なのか、その腕は黒く染まっている。
だけど、呼吸も満足に出来ない私は、肩膝を砂浜について、ただ収まるのを待つしか出来ない。
いつ収まるのかも分からないのに。
目の前に追い続けた敵が嘲笑っているというのに。
結局私は、何一つドフラミンゴに報いる事は出来ないのか。
「可哀想だが…嬢ちゃんが復活するのを待てる程、おれの気は長くねェ」
「……」
「…気の毒だなァ…その症状さえ出なければ、おれを倒せたというのに…」
「…そんな事…ッ、微塵にも思ってない、くせに…ッ」
「………フッ、フフ…!」
ドフラミンゴは、再び腕を空へと上げた。
先程と違うのは、その腕は覇気を纏っている事。
そして…たった数センチさえも動かせない私の身体。
私は黙って、その不気味に笑う憎い顔を見上げる事しか出来ない。
「…運が良ければ助かると良いなァ…!」
―――ねぇ、ロー。
貴方と出逢えた事が運命だとしたら。
私はとっても運の良い女、よね?
【群青色の空と、鮮血の赤】